カスタマーハラスメント対策規程
第1章 総則
第1条(目的)
本規程は、どろんこ会グループ(社会福祉法人どろんこ会、株式会社ゴーエスト、株式会社日本福祉総合研究所、株式会社南魚沼生産組合、株式会社Doronko Agri、社会福祉法人愛育会の6法人を指し、以下「当グループ」という)保護者、業者、地域住民など、関係を有する一切の者(以下、利用者等という)からのカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」という。)からスタッフ及び利用者等の心身の安全と健康を保護し、安心して質の高い保育サービスを提供できる職場環境を確保することを目的とする。また、カスハラを未然に防止し、発生時には迅速かつ適切に対応するための基準を定めるものとする。
第2条(適用範囲)
本規程は、雇用される全てのスタッフ(正職員、有期契約職員を含む。)及び利用者等に適用する 。また、本規程に定めるカスハラ行為は、対面、電話、書面、電子メール、SNS、インターネット上など、あらゆる場における言動を対象とする。
第3条(基本方針)
- 当グループは、スタッフの就業環境を害するカスハラ行為を一切許容しない。
- 当グループは、スタッフの安全と健康を最優先し、カスハラからスタッフを保護するための適切な措置を講じる。
- 当グループは、利用者等からの正当なご意見やご要望については、サービスの改善に繋がる貴重な情報として真摯に受け止め、合理的かつ理性的な対話を通じて問題解決に努める。
- カスハラに該当すると判断した場合は、毅然とした態度で対応し、必要に応じてサービスの提供を拒否し、法的措置を含む厳正な対処を行う。
第2章 カスハラの定義と類型
第4条(カスハラの定義)
本規程においてカスハラとは、利用者等からのクレーム・言動のうち、その要求内容の妥当性に照らして、要求実現のための手段・態様が社会通念上不相当なものであり、かつ、当該手段・態様によりスタッフの就業環境が害されるものまた他の利用者等に強い不安を与えるような言動をいう。
第5条(カスハラと正当なクレームの区別)
- 全てのクレーム、言動がカスハラに該当するわけではない。当グループの提供するサービスに瑕疵や過失がある場合、または利用者等の正当な権利に基づく要求である場合は、これを正当なクレームとして真摯に受け止め、適切に対応する。
- カスハラは、要求内容の妥当性に照らして、その手段・態様が社会通念上不相当である場合、または要求内容自体が妥当性を欠く場合に該当する。
- 第6条のカスハラに該当するか否かは、利用者等の特性(障害や疾患の有無を含みます)にかかわらず、その「行為」の客観的な内容に基づき判断します。
- 別途、障害のある利用者等から、障害者差別解消法に基づく社会的障壁の除去
(合理的配慮)を求められた場合は、本規程とは別に、当グループの負担が過重にならない範囲で誠実に対応いたします。 - ただし、合理的配慮の提供は、次条に定めるハラスメント行為を容認するものではありません。
- 別途、障害のある利用者等から、障害者差別解消法に基づく社会的障壁の除去
第6条(カスハラ行為の類型と具体例)
カスハラに該当する行為の類型と具体例は以下の通りとする。ただし、これら以外の行為については、要求の妥当性に照らして、個別具体的に判断する。
- 身体的攻撃
- スタッフを叩く、蹴る、物を投げつける、唾を吐く、突き飛ばす行為。
- 手や足などで殴る、蹴るような動作等を用いて威嚇する行為。
- スタッフの眼鏡を壊す、服を破るなどの器物損壊行為。
- 精神的攻撃 名誉を毀損する言動(施設に対する信用毀損行為も含む。) 著しいハラスメントや暴言、脅迫的・威圧的な言動
- スタッフに対する暴言、人格を否定するような言動、侮辱的な言動(例:「人として終わっている」)。
- 長時間にわたり必要以上に何度も同じ内容で激しく叱責する行為。
- 事実ではない事柄や、事実かどうか不明な内容を口コミやSNSなどで拡散する行為。
- スタッフに対する誹謗中傷(インターネット上でのものを含む。)。
- 「殺すぞ」「訴えるぞ」等の脅迫的発言。
- 大声で執拗に責め立てる、高圧的に自らの要求を主張する、話の揚げ足を取って責め立てるなどの威圧的言動。
- 保護者会などでの集団によるつるしあげ
- 過度な要求
- 合理的理由のない謝罪要求(土下座の強要を含む。)。
- スタッフの解雇・処罰の要求。
- 法令や契約に基づかない金銭・サービス要求、または社会通念上著しく高額な金銭補償の要求。
- 特定の子どもへの特別扱いの強要(例:「担任は〇〇先生にしろ」)
- 業務時間外の対応要求、スタッフ自宅等への訪問を求める行為。
- 不可能な行為や抽象的な行為の要求(例:「法律を変えろ」「子供を泣き止ませろ」「誠意を見せろ」「納得させろ」)。
- 時間拘束
- 長時間の居座り、執拗な電話の繰り返し、個室での拘束。
- 個の侵害
- 正当な理由なくスタッフの個人情報(住所、学歴、家族構成など)を聞き出そうとする行為。
- スタッフの顔や名札等を無許諾で撮影し、SNS等で公開する行為。
- つきまとい行為。
- セクシュアルハラスメント 著しいハラスメントや暴言、脅迫的・威圧的な言動
- わいせつな言動や行為、不必要な身体接触、交際の強要など、性的な嫌がらせ行為全般。
- 施設や財産等の破壊行為
- その他犯罪行為
第3章 相談体制
第7条(相談窓口の設置)
- 当グループは、スタッフがカスハラ被害に遭った際、速やかに相談・報告できる体制として、運営本部内にカスハラに関する相談窓口を設置する。
- 各拠点においては、施設長を最初の相談窓口とし、そこから運営本部へエスカレーションする体制を構築する。
- 相談方法は、対面、電話、電子メールなど、複数の方法を用意し、スタッフが利用しやすい環境を整える。
- 匿名での相談も可能とし、相談への心理的ハードルを下げ、声を上げやすい環境を保障する。
- 相談窓口の場所、連絡先、利用方法、対応フローを全スタッフに明確に周知する。マニュアル、ポスター、会議などを活用し、全てのスタッフに情報が行き渡るようにする。
第8条(相談対応者の役割と研修)
- 相談窓口の担当者は、相談者の話をじっくりと傾聴し、感情を受け止め、共感的な態度で寄り添う。詰問するような聞き方は避け、相談者の不信感や不安感を招かないよう注意する。
- 相談内容に基づき、客観的な事実関係を正確に把握する。
- 事実に基づき、被害スタッフへのケア、加害者への対応、再発防止策など、適切な措置を検討し実行する。
- 相談対応者には、ハラスメントに関する基礎知識、法的責任、相談対応の具体的な進め方、事実確認の方法、問題解決のための対応、ロールプレイなどを含む専門研修を定期的に実施する。
第9条(外部専門機関との連携)
- 当グループは、内部の相談窓口だけでは対応が難しい複雑なケースや、より専門的な支援が必要な場合に備え、以下の外部機関との連携体制を構築する。
- 顧問弁護士及び第三者委員: 法的助言、書面による警告、損害賠償請求、刑事告訴、情報開示請求、警察への被害届提出のサポートなど。
- 自治体:利用停止措置、転園勧告などの相談。
- 警察: 暴力行為、器物損壊、脅迫など、刑法に触れる行為があった場合、スタッフの安全確保を最優先し、速やかに通報。
- 労働局・総合労働相談コーナー: 労働者の就業環境が害された場合や、会社としての対応に迷う場合の相談。
- メンタルヘルス専門機関: 被害スタッフの心のケアのため、カウンセリング等の専門的支援。
- 社会福祉協議会・福祉人材センター: 社会福祉分野に特化した相談窓口。
- 外部機関との連携フローを明確にし、緊急時にも迷わず適切な対応が取れるようにする。
第4章 対応マニュアルと手順
第10条(対応マニュアルの策定)
- 当グループは、カスハラ発生時のスタッフの行動指針となるカスハラ対応マニュアルを策定する。
- マニュアルは、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を参考にしつつ、当グループの実情、特に保育現場の特性やカスハラ被害を直接経験している現場の声を反映させて作成する。
第11条(初期対応から解決までのフロー)
カスハラ発生時には、スタッフが冷静かつ迅速に対応できるよう、以下の段階的なフローチャートを明確に定める。
ーー「保育園・発達支援事業所・学童保育・就労支援事業所」を想定ーー
- 初期対応(一次対応者:保育者、支援者)
- 相手の言い分を最後まで傾聴し、不快な思いをさせたことについて限定的に謝罪する。事実確認ができていない段階で非を認める発言は避ける。
- 可能であれば、別のスタッフが隣に控え、すぐサポートできる体制をとる(複数名対応)。
- 会話内容をメモし、録音・録画が可能であれば実施する(証拠保全)。
- 感情的にならず、丁寧な言葉遣いで冷静に対応する。
- 「園で話し合ってみます」と伝え、安易な回答はせず、持ち帰って組織で検討する姿勢を示す。
- 報告・エスカレーション(一次対応者→施設長→運営本部)
- 初期対応者は、カスハラ事案を速やかに施設長に報告する。
- 施設長が対応困難と判断した場合、または一定時間を超えて膠着状態に陥った場合、運営本部や法人本部にエスカレーションする。
- 事実確認・調査(施設長、運営本部)
- 利用者等やスタッフからのヒアリング、録音・録画などをもとに、客観的な視点で事実関係を正確に確認する。
- 事実確認に基づき、園としての方針を決定する。不当な要求には毅然とした態度で対応し、妥協的な譲歩は避ける。
- 対応の実行(施設長、人事総務部、顧問弁護士等)
- 「組織としての回答であること」「説明を尽くしていること」「これ以上の議論はできないこと」を利用者等に伝達する。
- 業務に支障が生じると判断した場合、対応を中止し、利用者等に退去を求める。暴力行為など身の危険を感じる場合は、その時点で速やかに警察に通報する。
- 悪質と判断した場合、顧問弁護士や警察と連携し、毅然と対処する。
ーー「飲食店」を想定ーー
- 初期対応(一次対応者:接客担当者)
- 利用者等の言い分を最後まで傾聴し、不快な思いをさせたことについて限定的に謝罪する。(例:「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」)
- 事実確認ができていない段階で、非を認める発言(過度な謝罪、返金や無料提供の安易な約束など)は避ける。
- 可能であれば、他のスタッフが近くに付き添い、すぐサポートできる体制をとる(複数名対応)。
- 会話内容をメモし、必要に応じて録音・録画を実施する(証拠保全)。
- 感情的にならず、丁寧な言葉遣いで冷静に対応する。
- 「店で確認(検討)いたします」と伝え、その場での安易な回答はせず、持ち帰って組織で検討する姿勢を示す。
- 報告・エスカレーション(一次対応者 → 本部)
- 一次対応者は、カスハラ事案(またはその懸念)を速やかに責任者または本部に報告する。
- 一次対応者が対応困難と判断した場合、または一定時間を超えて膠着状態に陥った場合、速やかに責任者または本部にエスカレーションし、指示を仰ぐ。
- 事実確認・調査(責任者、本部)
- 利用者等やスタッフからのヒアリング、録音・録画、防犯カメラの映像などをもとに、客観的な視点で事実関係を正確に確認する。
- 事実確認に基づき、店(当グループ)としての方針を決定する。不当な要求(土下座の要求、過度な金銭要求など)には毅然とした態度で対応し、安易な譲歩は避ける。
-
対応の実行(責任者、本部、顧問弁護士等)
- 他の利用者等へのご迷惑や、店舗の正常な営業に支障が生じると判断した場合、対応を中止し、お客様に退去を求める。
- 暴力行為、威嚇、器物損壊など、スタッフや他のお客様に身の危険を感じる場合は、その時点で速やかに警察(110番)に通報する。
- 事案が悪質と判断した場合、顧問弁護士や警察と連携し、毅然と対処する。
ーー「社外取引先」を想定ーー
- 初期対応(一次対応者:スタッフ)
- 取引先の言い分を最後まで傾聴し、ご不快な思いやご迷惑をおかけしている点について限定的に謝罪する。(例:「ご不便をおかけし、申し訳ございません」)
- 事実関係や契約内容の確認ができていない段階で、自社の非を全面的に認める発言(契約外の無償対応、過度な値引き、賠償の安易な約束など)は避ける。
- 可能であれば、上長や他の担当者が同席・同席(電話やWeb会議への参加)し、すぐサポートできる体制をとる(複数名対応)。
- 会話内容をメモ(議事録を作成)し、メールやチャットの履歴を保全する。通話録音やWeb会議の録画が可能であれば実施する(証拠保全)。
- 感情的にならず、丁寧な言葉遣いで冷静に対応する。
- 「社内で確認し、改めてご連絡いたします」と伝え、その場での安易な回答はせず、持ち帰って組織で検討する姿勢を示す。
- 報告・エスカレーション(一次対応者 → 上長)
- 初期対応者は、カスハラ事案(またはその懸念)を速やかに上長に報告する。
- 上長が対応困難と判断した場合、または一定時間を超えて膠着状態に陥った場合、速やかに関連部署や経営層にエスカレーションし、対応を協議する。
- 事実確認・調査(上長、関連部署)
- 取引先担当者や自社スタッフからのヒアリング、メール履歴、録音・録画、契約書の内容などをもとに、客観的な視点で事実関係を正確に確認する。
- 事実確認に基づき、当グループとしての方針を決定する。第6条に記した行為には毅然とした態度で対応し、安易な譲歩は避ける。
- 対応の実行(上長、関連部署、顧問弁護士等)
- 上長または関連部署の担当者から、「当グループとしての正式な回答であること」「説明を尽くしていること」「これ以上の議論(要求への対応)はできないこと」を取引先に伝達する(必要に応じて書面で回答する)。
- 正常な業務に支障が生じる(長時間の電話拘束、執拗な面談要求など)と判断した場合、打ち合わせや通話の終了を宣告する。
- 事務所への押しかけ、暴力行為、脅迫など、スタッフに身の危険を感じる場合は、その時点で速やかに警察(110番)に通報する。
- 事案が悪質と判断した場合、顧問弁護士や警察と連携し、毅然と対処する。今後の取引停止についても検討する。
第12条(カスハラ類型別の具体的な対応手順)
- 身体的攻撃への対応
- 暴力を止めるよう求め、冷静に対応し、発言内容を録音・録画する。
- 身の危険を感じた場合は、すぐにその場を離れ、警察に通報する。
- 安全を最優先に行動する。
- 暴言型(精神的攻撃)への対応
- 周囲の迷惑となるため、暴言を止めるように求める。
- 暴言で返すことなく、丁寧な言葉を用いて冷静・沈着に対応する。
- 後で事実確認ができるように、発言内容を録音する。
- 人格を否定するような言動や、周囲に恐怖感を与えるような大声の場合は、冷静に発言するよう注意を促し、それでも続く場合は対応を中止し、退去を求めることを検討する。
- 時間拘束型への対応
- 対応できない理由を説明し、応じられないことを明確に告げる。
- 膠着状態に至ってから一定時間を超える場合は、対応を打ち切る旨を伝え、退去を求め、または電話を切る。
- 複数回電話がかかってくる場合は、あらかじめ対応できる時間を伝えて、それ以上は対応しない旨を伝える。
- 過度な要求型への対応
- 曖昧な発言やぶれた発言は避け、その場しのぎの安易な妥協をしない。
- 事実関係が不明なまま要求を認めず、明確に拒否する。
- 「誠意を見せろ」「納得させろ」といった抽象的な要求には応じられないことを明確に伝える。
- 不当な要求には毅然とした態度で対応し、妥協的な譲歩は避ける。
- 個人情報の侵害型への対応
- スタッフの個人情報は開示できないことを明確に伝える。
- SNS等での誹謗中傷や個人情報公開があった場合は、速やかに削除を要請し、悪質な場合は弁護士や警察に相談する。
- セクシュアルハラスメント型への対応
- 不快であることを明確に伝え、行為を止めさせる。
- 録音や録画によって証拠を残す。
- 被害者へのケアを最優先し、必要に応じて施設への出入り禁止や警察への通報を検討する。
第13条(証拠保全と記録の重要性)
- カスハラ発生時には、以下の情報を詳細かつ客観的に記録する。
- 日時、場所、対応者(複数名で対応した場合は全員の名前)
- 行為者の氏名、連絡先(保護者情報)
- カスハラ行為の具体的な内容(言動、行動、要求内容を詳細に)
- 対応者の言動、対応内容
- 周囲の状況(目撃者の有無、他の保護者や園児への影響)
- 事案発生後のスタッフの心身の状態
- 対応結果、今後の対応方針
- 記録は口頭対応のみでなく、必ず文書として残し、法人内で共有する仕組みを整える。
- 以下の方法により証拠を保全する。
- 録音・録画: 電話対応は自動録音システムを導入し、対面対応では必要に応じて録音・録画を行う。
- デジタルデータの保存: 電子メール、SNS、LINEなどのやり取りはスクリーンショットやデータとして保存する。
- 物的証拠: 破損した物品などがあれば、写真撮影し、保管する。
第5章 被害を受けたスタッフへのケア
第14条(メンタルヘルスケアの提供)
- カスハラを受け精神的ストレスが強いスタッフに対しては、早期に面談や医療機関への受診を促し、適切なケアを受けられるようサポートする。
- 全スタッフを対象に定期的なストレスチェックを実施し、ストレスレベルを客観的に把握する 。ストレスを抱えている兆候が見られるスタッフに対しては、早期に面談や医療機関への受診を促し、適切なケアを受けられるようサポートする。
第15条(法的支援と情報提供)
- 顧問弁護士と連携し、被害スタッフが損害賠償請求や刑事告訴を検討する場合の法的助言を提供する。
- 労災補償の対象となる可能性がある場合は、申請手続きを行う。
第6章 雑則
第16条(プライバシー保護と不利益取扱いの禁止)
- 相談窓口の担当者は、相談者および関係者のプライバシーを厳重に保護し、知り得た事実の秘密を厳守する。
- カスハラに関する相談を行ったこと、または事実確認に協力したことを理由として、当該スタッフが解雇、降格、配置転換その他いかなる不利益な取り扱いも受けないことを明確に保障し、その旨を周知徹底する。
第17条(規程の改定)
本規程は、社会情勢の変化、法令の改正、カスハラ事案の発生状況や傾向、スタッフからのフィードバック等を踏まえ、必要に応じて改定を行うものとする。
附則
本規程は、2026年1月1日より施行する。
